自動車運送業許可申請手続き関連
広島県三原市に事務所を構え、運送業許可のお手伝いをさせていただいております。
運送業の手続きに関わることならお気軽にお問い合わせください。
ここでいう運送業とは、トラックやトレーナーを用いて荷物を運ぶ事業を想定しています。
航空機や船舶を利用する場合は省いています。
運送業を営むためには、許可を受けなければなりません。
毎日日本中の道路という道路を走り、荷物を運び続けている運送業は、日本の経済に欠かせない重要なものです。
許可を取得することで、その重要な事業を営むことができる反面、果たさなければならない義務も生じます。
運送業の概要
運送業の3区分
運送業には次ように3種類に区分されています。
- 一般貨物自動車運送事業
- 特定貨物自動車運送事業
- 貨物軽自動車運送事業
これらは、他人から委託され、有償で自動車を用い、貨物を運送する事業であって、依頼主が特定の一者のみの場合が特定貨物自動車運送事業であり、それ以外が一般貨物自動車運送事業です。
利用する自動車が軽自動車の場合が貨物軽自動車運送事業です。
事業用のナンバープレート
許可を得て運送業を営んでいる場合の自動車のナンバーバープレートは、自家用車のものと色が異なっていることはご存じだと思います。
自家用が白ナンバー、事業用が緑ナンバーです。白ナンバーのままで、運送業を行った場合は違法になります。
逆に言えば、緑ナンバーであれば、許可を得て営業しているということが分かります。
また、軽自動車の場合は、自家用が黄色ナンバーで、事業用が黒ナンバーになります。
一般貨物自動車運送業
ここでは、一般貨物自動車運送事業の許可を取得するために必要な様々な情報を紹介します。
運送業とは、一般貨物自動車運送事業を指すものとお考え下さい。
運送業の5つの許可要件
運送業の許可を得るために必要な要件は大きく5つ挙げられます。
場所的要件、資金的要件、人的要件、車両要件、法令試験の5つです。
最後の法令試験は人的要件にも含まれそうですが、一応5要件ということにしておきます。
これらの5つの要件をすべて満たさなければなりません。
順番に内容を見ていきましょう。
場所的要件
この要件は、運送業を営むにあたり必要な施設の立地条件等が様々な法律に抵触していないことが条件になります。
必要な施設とは次のようなものです。
- 営業所
- 休憩施設
- 睡眠施設
- 車庫
- 保管施設
守らなければならない法律には次のようなものがあります。
- 都市計画法
- 建築基準法
- 農地法
- 消防法
- 道路交通法
この場所的要件は5つの要件の中でも最も重要なものの中の一つです。
資金的要件
運送業の許可を得るためには、実際に運送業を開始するために必要な資金を確保しなければなりません。
施設や設備、車両にかかる費用、事業の運転資金等、事業計画に沿った金額を算出し、調達方法を示さなければなりません。
状況によって金額は異なり、数百万のこともあれば、数千万に及ぶこともあるでしょう。
人的要件
人的要件とは、運送業を開始するにあたり、特定の資格等を有する次のような者が必要とされています。
- 運行管理者
- 運行管理補助者
- 整備管理者
- 整備管理補助者
また、当然ですが、保有車両数に応じた運転者も確保していなければなりません。
車両要件
運送業を始めるためには、原則として、最低5台の車両が必要です。 許可申請にあたっては、5だ異常の車両の使用権限を有しているかまたは、確保予定である必要があります。法令試験
申請を提出した後、申請者(または、その法人の役員の一人)は法令試験に合格しなければなりません。
試験内容は、運送業に必要な法令の内容です。
試験に合格しなければ、申請は取り下げになければなりません。
一度不合格になった場合、再テストを受けることはできますが、3度目はありません。
運送業にとって、法令の理解が非常に重要だということです。
許可申請の手続き
運送業(一般貨物自動車運送業)の許可申請から運輸開始までを見ていきましょう。
許可申請の流れ
許可申請から運輸開始までの流れは次のようになります。
- 申請書提出
- 法令試験及び審査
- 講習会受講、登録免許税納付
- 許可証の交付
- 事業所の確保
- 運行管理者・整備管理者の届出
- 事業用車両の登録・車体表示
- 運輸開始届
- 巡回指導
経営許可申請
営業所の所在地を管轄する運輸支局へ申請書を提出します。
作成部数は3部で、提出は2部、残りの1部は申請者の控えです。
A4縦の用紙に作成し、左綴じとしてください。
郵送でも提出できますが、必要な切手と返信用封筒を同封しなければなりません。
許可が決定されるまでの標準処理時間は、3~5か月です。長期にわたりますので計画的に進めましょう。
法令試験
申請後、法令試験通知書が送付されますので、その通知書に従って法令試験を受験してください。
試験を受けることができるのは、1つの申請にあたり、1人のみです。申請書提出後の翌月以降の奇数月に受験することになります。
試験範囲は次のとおりです。
- 貨物自動車運送事業法、施行規則、輸送安全規則、報告規則
- 自動車事故報告規則
- 道路運送法
- 道路運送車両法
- 道路交通法
- 安全労働基準法
- 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
- 労働安全衛生法
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
- 下請代金支払遅延等防止法
合格基準は正解率80%以上です。合格しなければ、許可は下りません。
つまりいつまでたっても事業を開始することはできません。しっかり準備をしましょう。
事業施設の確保など
試験に合格し、許可の連絡が来たら、登録免許税を納付し、その後、講習会を受講することで許可証が交付されます。
新たに会社を設立して運送業を始める場合には、この時点で会社の設立・登記を行います。 既存の会社で、運送業を始める場合には、定款の変更をする必要があるかもしれません。
そして、事業運営のための施設を確保し、運行管理者・整備管理者を届出、運転者を選任し、社会保険、労働保険へ加入が必要です。
運行管理者には運行管理者資格証、整備管理者には整備管理者選任前研修修了証または整備士合格証、もしくは整備管理者実務経験証明書うが必要です。
可能であれば、運賃の届出をしておいてもいいでしょう。
運輸開始前の確認
「運輸開始前の確認について」という書類を運輸支局に提出します。
ここで、運行管理者、整備管理者、運転者の氏名、社会保険の加入状況等の情報が必要となります。 「連絡書」が発行されます。連絡書には期限があります。期限内に車両の登録をしなければなりません。
事業用自動車の登録・車体表示
運輸支局にて、上記連絡書を持って、車両の登録手続きを行い、車検証が事業用として書き換えが行われます。
車両へ氏名、名称を表示します。ここで、任意保険に加入しておきましょう。
運輸開始届出・運賃料金設定届出
運輸開始届は許可日から1年以内に提出しなければいけません。せっかく苦労して許可をとってもここでうっかり忘れていたら台無しです。
ここまで来れば運輸開始、つまり運送業として営業できます。
巡回指導
運輸開始届提出後、1~3か月以内に適正化事業実施機関による巡回指導が実施されます。
事前に連絡が入るのでしっかり準備をしておきましょう。
巡回指導でチェックされる項目は次のとおりです。
- 事業計画等
- 帳票類の整備、報告等
- 運行管理等
- 車両管理等
- 労働基準法関連
- 法定福利費
- 運輸安全マネジメントに関して
2時間程度かかると思います。改善を求められた場合は、2か月以内に報告書を提出しなければなりません。
運送業の帳票類・労務関係
運送事業を開始した後、事業を行う上で必要な事項を取り上げます。
運行関係関係
最も重要と考えられる運行管理に関する帳簿類は次に示すとおり非常に数も多く、これらを日々記録、保管し、管理しなければいけません。- 運転者台帳
- 点呼記録簿
- 運行指示書
- 乗務記録・運転日報
- 乗務員教育記録簿
- 初任運転者教育記録
- 高齢運転者教育記録
- 運行管理規定
- 乗務員の適性診断
- 事故記録簿
- 運転記録証明書
車両関係
車両関係の帳簿類は次のとおりです。
- 車両台帳
- 日常点検表
- 定期点検整備記録簿
- 整備管理規定
労務関係
労務管理間家は次のとおりです。
- 就業規則
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 定期健康診断
- 三六協定等の労使協定
- 社会保険・労働保険の手続き書類
各種変更届について
運送業においては、事業に関して変更があれば、申請や届け出をしなければなりません。
どのような場合に変更の届等が必要になるのか見ていきましょう。
車両の増車、減車、代車
これは事業用の車両数を変更する場合です。増車の場合は、車庫の必要数、面積も変わるので注意が必要です。
車両の数の変更については、一定の要件に該当する場合は、認可を受ける必要があり、そうでない場合は届出でよいとされています。
認可が必要な場合は次のとおりです。
- 最低車両台数5台を下回る変更の場合
- 増車する車両数が、申請日から起算して3か月前事典の車両数の30%以上で、かつ1両以上である場合
- 増車の場合、申請者が運送業の許可取り消し五5年を経過しない場合または行政処分の累積点数が12点以上である場合
- 巡回指導の総合評価がEであった場合
営業所の新設・移転・廃止
営業所を移転する場合、新設する場合、廃止する場合に申請します。
移転、新背うtの場合は、新規申請のときと同様の基準を当然満たさなければなりません。
車庫の新設・移転・廃止
車庫の変更も営業所と同様に、移転、新設の場合は新規申請のときと東洋の基準を満たさなければなりません。
その他の変更
上記の他、申請又は届出が必要な変更事項は次のとおりです。
- 氏名・名称・住所
- 役員変更
- 主たる事務所
- 利用運送するかどうか
- 事業廃止
- 事業休止
報告書の提出
運送業を営む者は毎年提出が義務付けられている次の2つの報告書があります。
事業報告書
毎年事業年度終了後100日以内に、運輸支局に事業報告書を提出しなけれななりません。 報告書に記載する内容は次のとおりです。
- 資本金の額
- 発行済み株式数
- 役員、従業員数
- 損益明細
- 人件費明細等
事業実績報告書
毎年7月10日までに前年度の事業実施報告書を運輸支局に提出しなければなりません。 記載内容は次のとおりです。
- 事業用自動車数
- 従業員数
- 運転者数
- 事業内容
- 輸送実績
- 事故件数
事故報告
- 謀らずも事故を起こしてしまったときは、警察や救急への連絡は当然ですが、次の事項が義務付けられています。
- 事故記録
- 事故報告書
- 日報への記載
貨物軽自動車運送事業
貨物軽自動車運送事業は、軽トラックやバイクで運送業を営むものです。 この事業は車両1台で行うことができ、許可でなく届出で行えます。
初期費用が比較的低額で一般貨物自動車運送業と比較すると手軽に始めることができるでしょう。
必要な要件
貨物軽自動車運送事業を始めるために必要な要件は次のとおりです。
車両
軽貨物車1台以上
自動車の構造
上院定数は原則2名以下で、軽貨物車であることが必要です。乗用タイプは不可です。
車庫
- 営業所に併設、又は2キロメートル以内であること
- 使用する車両をすべて駐車できること
- 使用権限を有すること
- 構造、設置場所が法に抵触しないこと
- 他用途に使用される場所と明確に区別されていること
運行管理体制
運行管理者資格は不要です。
運送約款
国土交通大臣が定めた標準約款を参考にするか、そのまま使用しましょう。
届出手続き
届出ですので、書類の内容に不備がなく、受け取ってもらえれば完了です。
届出に必要な書類
必要な書類は次のとおりです。
- 届出書
- 運賃料金設定届出書
- 運賃料金所
- 車検証のコピー
- 事業用自動車連絡書
届出先
一般貨物自動車運送業と同じく、所轄の運輸支局に提出します。