産業廃棄物収集運搬業許可を受けるための要件について
産業廃棄物収集運搬業を行うためには、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
その都道府県というのは、産業廃棄物を排出する事業所がある都道府県と運搬先の中間処理場等がある都道府県が異なる場合はその両方で許可を取らなければなりません。
運搬のため通過するだけの都道府県には許可の必要はありません。
それでは、許可に必要な要件とはどのようなものか見ていきましょう。
申請者に係る要件
申請者に係る要件としては次の2点です。
新規許可講習の修了者であること
まず新規許可講習というものを受講し、修了試験に合格しなければなりません。
講習会の主催は、日本産業廃棄物処理振興センターです。
講習はオンラインで行われ、受講料は、30,400円です。
新型コロナウィルスの感染拡大以前は、2日間の講習会でしたが、現在(令和3年度)は、オンライン講習会のみとなっています。
ただし、最後の試験は会場で実施されますので、それに合わせてオンライン講習会の申し込みを行わなければなりません。
広島県では、年に2,3回程度しか行われないため、計画的に行う必要があります。
欠格要件に該当しないこと
以下の欠格要件に該当しないことが必要です。
- 心身の故障により業務を適切に行うことができない者
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁固以上の刑に処せられ、その刑が終わり、5年を経過しない者
- 廃棄物処理法、浄化槽法等で罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者
- 産業廃棄物処理業の許可を取り消されその取り消しの日から5年を経過しない者
- 産業廃棄物処理業の事業の全部の廃止の届出をしたもので届出の日から5年を経過しない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員がその事業活動を支配する者
施設に係る要件
施設に係る要件というのは、産業廃棄物の運搬車両が目的に合致する適切なものかどうかということです。
積替え保管をする場合は、その施設に関する要件となります。
次のような要件を満たさなければなりません。
- 産業廃棄物の運搬時に、飛散、流出、悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬容器その他の運搬施設を有すること
- 積替え施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散、流出、地下に浸透、悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること
- 施設を継続的に使用する権原を有すること
- 家畜の死体の収集運搬の場合は、腐敗の進行を防止するための保冷車その他必要な運搬施設を有すること
- 積替え保管施設を有する場合は、産業廃棄物が飛散、流出、地下浸透、悪臭発散が無いように必要な措置が講じられていること
資金に係る要件
産業廃棄物収集運搬業が許可制であり、法律で規制されているのは、不法投棄等の対策という一面があります。
その対策のためには、それぞれの事業者が継続的に安定した事業活動が必要になります。
したがって、ある程度の適切な資金や事業活動における利益がないといけません。
具体的には次のような要件を満たすことが必要です。
- 直前3年の各事業年度における損益計算書上の経常利益金額+減価償却費の額の平均額が0以上であること
- 直前事業年度における経常利益金額が0以上であること
- 直前事業年度において債務超過でないこと
以上が産業廃棄物収集運搬業の許可要件です。
試験に合格しなければならないというところが、少しハードルが高いかもしれません。
事業を開始する時期から逆算して計画的に進めましょう。