広島県三原市の建設業に関する申請手続を支援します 行政書士すがはらあきよし事務所 行政書士 菅原章義

建設業の財務諸表について(法人の場合)

この記事では、法人における建設業許可申請や決算変更届に必要な財務諸表について解説しています。

(記事作成:令和4年4月)

建設業の申請や届出用の財務諸表は、財務申告用の決算書を基に作成することになります。

単に数字を転記すればよい箇所もありますが、建設業申請y槽に作り替えなければならない箇所もあります。

例えば、勘定科目を変更しなければならなかったり、建設業以外に兼業事業がある場合には、売上高などを区分しなければならない等です。

また、記入する数字は千円単位となることにも注意が必要です。

千円未満については、切り捨て、切り上げ、四捨五入のいずれでも選択可能ですが、全体で統一されていなければなりません。

一般的には、切り捨てであることが多く、切り捨てを選択すれば間違いがないのではないかと思います。

合計の金額を記載する箇所がありますが、各勘定科目の千円単位の金額を合計した数字を記入するのではなく、円単位の金額を合計した数字すなわち決算書に記載されている数字を千円単位に直して記載します。

したがって、財務諸表に書かれてある金額を合計した金額と実際に記載する合計金額は違うことがある、というかほとんどの場合異なります。

法人用の財務諸表は、次の4種類です。
  • 貸借対照表
  • 損益計算書(完成工事原価報告書含む)
  • 株主資本等変動計算書
  • 注記表
これらの財務諸表を申請する事業年度の直前の決算が確定している事業年度について作成します。

貸借対照表

貸借対照表の様式は次のリンク(PDF)で確認ください。

貸借対照表の作成において注意しなければならないのは次に示すとおりです。

流動資産

決算書の「売掛金」を「完成工事未収入金」に転記します。

ただし、建設業以外の兼業事業がある場合は、建設業の売り上げの係る売掛金を完成工事未収入金として計上し、兼業事業の売掛金を「売掛金」に計上します。

「材料貯蔵品」、「短期貸付金」、「前払費用」は、その金額が資産総額の100分の5以下である場合には、「その他」に含めて記載できます。

固定資産

固定資産は、「取得金額」、「減価償却累計額」、「期末簿価」を記載します。

決算書には、期末簿価しか書かれていないこともあるので、税務申告書の「別表16」を参照して記載しましょう。

固定資産には、「有形固定資産」、「無形固定資産」、「投資その他の資産」がありますが、すべて同様に別表16を参照します。

流動負債

決算書に「買掛金が有る場合は、建設工事に関するものは「工事未払い金」、その他の兼業事業に関するものは、「買掛金」に分けて計上しなければなりません。

固定負債

基本的に決算書のまま転記し計上できることが多いでしょう。

純資産

純資産に関しては、決算書からそのまま転記し計上すればいいことが多いです。

再度に、資産の部の合計と負債+純資産の部の合計が一致していることを確認しましょう。

一致していない場合は、どこかに誤りがあるはずです。

しっかりと確認しましょう。

損益計算書と完成工事原価報告書

損益計算書(完成工事原価報告書含む)の様式は次のリンク(PDF)で確認ください。

損益計算書の作成において注意しなければならないのは次に示すとおりです。

売上高

建設工事に関する売上高を「完成工事高」に計上し、建設業以外の兼業事業の売り上げがある場合には、「兼業事業売上高」に計上します。

「完成工事高」と「兼業事業売上高」の合計が、決算書の「売上高」に一致することになります。

また、完成工事高は、建設業許可申請や決算変更届等の「直近3年の各事業年度における工事施工金額」の直近の事業年度の合計金額と一致することになります。

異なっている場合は、何らかの間違いがあるはずですので何らかの修正が必要です。

売上原価

建設工事に関する完成工事高に対応する原価を「完成工事原価」に計上し、兼業事業に関するものを「兼業事業売上原価」に計上します。

「完成工事原価」と「兼業事業売上原価」の合計が、決算書の「売上原価」と一致します。

売上総利益

「売上高」から「売上原価」を差し引いたものが「売上総利益」です。

決算書の売上総利益と一致します。

販売費および一般管理費

決算書の「販売費および一般管理費」から転記し計上します。

決算書の勘定科目が、建設業の損益計算書にない場合には、適切な科目に振替、若しくは科目を修正、追加して計上し、すべての費用が計上されるようにします。

営業利益

「売上総利益」から「販売費および一般管理費」を差し引いた額を計上します。

営業外収益、営業外費用

決算書の「営業外収入」、「営業外費用」を転記し、計上します。

必要に応じて、勘定科目の追加し、もれなく計上します。

経常利益

「営業利益」+「営業外収益」-「営業外費用」の額を計上します。

決算書の計上利益と同額になります。

特別利益、特別損失

決算書の「特別利益」、「特別損失」からそのまま転記することが多いです。

税引前当期純利益

「経常利益」+「特別利益」-「特別損失」の額を計上します。

決算書の税引前当期純利益と同じ額になります。

法人税、住民税及び事業税

決算書の「法人性、住民税及び事業税」から転記します。

当期純利益

決算書の「当期純利益」から転記します。

この金額が最終的な儲け金額になります。

完成工事原価報告書

基本的に決算書から転記します。

「材料費」は、決算書の製造原価報告書の「材料費」から転記します。

「労務費(うち労務外注費)」は、工事現場の職人さんの人件費で、人手を外注した場合の労務費が労務外注費として計上します。

「外注費」は下請等に外注した費用で、労務費や材料費なども含めて契約した金額になります。

「経費(内人件費)」は、上記に含まれない費用を計上します。

上記の合計が完成工事原価となり、損益計算書の「完成工事原価」と一致すること確認しましょう。

株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書の様式は次のリンク(PDF)で確認ください。

決算書の株主資本等変動計算書をそのまま転記できます。

様式が異なるので、記載場所を間違わないように注意しましょう。

注記表

注記表の様式は次のリンク(PDF)で確認ください。

注記表については、大変多くの項目がありますが、一般的な中小企業の場合、非公開会社で株式譲渡宣言会社であることが多いです。

その場合は、記載不要の項目が多数あるため作成が容易です。

下表のとおり、全18項目のうち6項目の未記載すればいいことになっています。

株式会社 持株会社
会計監査人設置会社 会計監査人なし
公開会社 株主譲渡制限会社
1)継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況 × × ×
2)重要な会計方針
3)会計方針の変更
4)表示方法の変更
5)会計上の見積もりの変更 × × ×
6)誤謬の訂正
7)貸借対照表関係 × ×
8)損益計算書関係 × ×
9)株主資本等変動計算書関係 ×
10)税効果会計 × ×
11)リースにより使用する固定資産 × ×
12)金融商品関係 × ×
13)賃貸等不動産関係 × ×
14)関連当事者との取引 × ×
15)一株当たりの情報 × ×
16)重要な後発事象 × ×
17)連結配当規制適用の有無 × × ×
18)その他

決算書の注記表を確認し、記載していきます。

上表の「〇」の項目でも、該当がない場合は、「該当なし」と記載し、「×」の項目は記載不要で、空欄で構いません。

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