建設業事業(許可)承継の認可について
法改正により令和2年10月から、建設業の事業の継承が可能になっています。
事業の承継とは、次のような場合をいいます。
- 譲渡及び譲受
- 合併
- 分割
- 相続
以前は、承継先の新会社等は、建設業の許可を改めて取得しなければ、建設業を営むことはできませんでした。(軽微な工事を除く)
しかし、この度の法改正により、事前の認可を受けることで建設業の許可を承継することができるようになっています。
これにより、空白期間がなく、建設業の営業ができることになりました。
建設業の事業承継の注意点
どのような場合でも建設業の事業承継ができるわけではないことに注意しておかなければなりません。
- 許可を受けている建設業の全部の業種を承継しなければならりません。
一部のみの承継は不可です。
承継先が建設業の許可を持っている場合で、承継元と同一業種の許可を有しているときには次の点も注意しましょう。
- 一般・特定の区分が同じ時に限り承継することができます。
例えば、承継元が鉄筋業の特定、承継先が鉄筋業の一般を持っている場合は、鉄筋業の特定の承継はできず、一部の業種の承継もできないので、この場合は、建設業の事業承継はできないことになります。
事業承継しなければならないときは、承継先の鉄筋業の一般の許可をあらかじめ廃業しておく必要があります。
廃業しておくことで、事業承継が可能になります。
- 許可期間は、事業の承継した日から新たに、5年間
承継元、承継先の建設業許可の期間が残っていたとしても、承継の日から新たに5年間ということになります。
事業承継の認可の申請先
申請先については、承継元と承継先が知事許可か大臣許可かで変わってきます。
譲渡、譲受の場合
譲渡人 | 譲受人 | 申請先(許可の区分) |
---|---|---|
国土交通大臣許可 | 許可なし | 国土交通大臣 |
知事許可 | 許可なし | 県知事 |
知事許可 | 同県知事許可 | 県知事 |
知事許可 | 国土交通大臣許可 | 国土交通大臣 |
知事許可 | 他県知事許可 | 国土交通大臣 |
合併の場合
合併消滅会社 | 合併存続会社 | 申請先(許可の区分) |
---|---|---|
国土交通大臣許可 | 許可なし | 国土交通大臣 |
A県知事とB県知事 | 許可なし | 国土交通大臣 |
知事許可 | 許可なし | 県知事 |
知事許可 | 同県知事許可 | 県知事 |
知事許可 | 国土交通大臣許可 | 国土交通大臣 |
知事許可 | 他県知事許可 | 国土交通大臣 |
分割の場合
分割費承継法人 | 分割承継法人 | 申請先(許可の区分) |
---|---|---|
国土交通大臣 | 許可なし | 国土交通大臣 |
A県知事とB県知事 | 許可なし | 国土交通大臣 |
知事許可 | 許可なし | 県知事 |
知事許可 | 同県知事許可 | 県知事 |
知事許可 | 国土交通大臣許可 | 国土交通大臣 |
知事許可 | 他県知事許可 | 国土交通大臣 |
相続の場合
被相続人 | 相続人 | 申請先(許可の区分) |
---|---|---|
国土交通大臣許可 | 許可なし | 国土交通大臣 |
知事許可 | 許可なし | 県知事 |
知事許可 | 同県知事許可 | 県知事 |
知事許可 | 国土交通大臣許可 | 国土交通大臣 |
知事許可 | 他県知事許可 | 国土交通大臣 |
事業承継認可申請の必要書類
事業承継により、建設業を行うためには、当然のことですが、承継人が建設業の許可要件をすべて満たさなければなりません。
したがって、事業承継認可申請の必要書類は、建設業の新規許可申請の必要書類とほぼ同じであり、それらに加えて、事業の承継に係る契約書などが必要になります。
事業の承継に係る書類というのは、次のようなものです。
譲渡、譲受の場合
- 譲渡、譲受に関する契約書の写し
- 譲渡、譲受に関する株主総会の議事録等、譲渡譲受に関する意思の決定を証する書類
合併の場合
- 合併契約書の写し
- 合併比率説明書
- 合併に関する株主総会の議事録等、譲渡譲受に関する意思の決定を証する書類
分割の場合
- 分割契約書の写し
- 新設分割の場合は分割計画書
- 分割に関する株主総会の議事録等、譲渡譲受に関する意思の決定を証する書類
相続の場合
- 申請者と被相続人との続柄を証する書類
- 申請者以外の相続人の同意書